仕事で評価されるのは、その人の仕事の質や処理能力の高さ、つまり「パフォーマンスの高さ」と言ってもよいでしょう。
HR担当者の重要な課題のひとつが「ハイパフォーマーの確保・育成」です。
在宅勤務の増加によるパフォーマンス低下も懸念される昨今、仕事のパフォーマンスを上げるにはどうしたらよいのか、多角的な視点で解説します。
仕事のパフォーマンスが評価されるのはどんな人?
ハイパフォーマー(高業績者)は業種業態を問わず、どの会社でも歓迎される人材です。
仕事のパフォーマンス向上の解説に先立って、「パフォーマンスが高い」と評価されるポイントを整理してみます。
「パフォーマンスが高い」という表現は、とても抽象的です。
もう少し具体的に言い換えると、「より短い時間やコストの範囲内で、期待される以上の品質の成果を出した」ということになります。
仕事として考えるうえでは、ミスがなく、前後の工程への配慮もできていることが前提となるでしょう。しかし、ものすごく頑張った瞬間を切り取れば、誰に対してもあてはめられる評価とも言えます。
ですから、人材評価として用いられる場合には、「水準以上のレベルに達している」もしくは「高い業績(数値目標)の達成」や「高難易度プロジェクトの成功」などの具体性を持たせることになります。
加えて瞬発的な成果ではなく「安定して高い成果を出し続ける」継続性が求められるでしょう。
ハイパフォーマーをめざすなら、以下のステップアップが現実的ではないでしょうか。
仕事のパフォーマンスを上げる方法
仕事のパフォーマンスを上げるには、スキルアップと同時に、仕事の環境や条件を整えることが必要です。
効率よく仕事を進めるための方法を解説します。
(1)俯瞰して優先順位をつける習慣
仕事の優先順位をつけるとき、最初に思い浮かぶのが時間軸でしょう。
納期や期限が近い順に着手していく人が多いと思います。
しかし、納期の順番と効率の仕事の進め方が常に一致するとは限りません。ある業務のデータを別の業務に流用できたりするなど、納期が遅い仕事を先に進めた方が効率的である場合もあります。
納期はもちろん最優先されるべき条件ですが、急ぎの業務を除いて、仕事の流れや全体像を視野に入れ、連携するデータや類似する手順などを確認しながら、プライオリティを考えていくとよいでしょう。
仕事の流れを把握できれば、納期や進め方をフレキシブルに調整できるものとそうでないものの区別がつきます。
日頃から、仕事の全体像を俯瞰して見られる視点を養っておくとよいでしょう。
(2)仕事をルーティン化する
仕事は、「実際に作業をする時間」と「やり方を考える時間」、「準備する時間」に分けられます。繰り返し行われる業務は、仕事を実行するタイミング(トリガー)を決め、手順をマニュアル化することで、ルーティン化できます。「考える時間」と「準備時間」を省略でき、大幅に効率化されます。
慣れた作業だから、あえてマニュアル化しなくてもよいと考えるかもしれませんが、それは組織全体から見ると非効率です。
マニュアルがあれば属人化を回避でき、その作業を誰かに任せるのも容易です。また、システムによる自動化などの検討もしやすくなります。
(3)タスク化とスケジュール管理
パフォーマンスが高い人は、「やり方を考える時間」が短い傾向があります。
つまり、仕事のやり方を考えるときに迷ったり、悩んだりする時間が少ないのです。
仕事のゴールが漠然した状態でどこから手をつけていいかわからず、悩んでしまうことがあります。
ゴール(目標)から逆算して、達成するために必要な手順をタスクに分解していくと、わかりやすいでしょう。
タスクごとにスケジュールを設定すれば、作業手順と進捗管理のフラグを紐づけられます。
(4)省力化の手段(ツール)を積極的に取り入れる
最近では、低価格もしくは無料で利用できる便利なツールが増えています。
また、ノーコードでアプリ開発できるサービスもあり、大きな予算をかけなくてもITを活用できるようになりつつあります。
ツールによる省力化の効果と導入・運用にかかる労力のバランスを見極めて活用しましょう。
(5)「頑張る」のではなく「頑張れる環境」をつくる
仕事のパフォーマンスを高い水準で安定させるには、モチベーションを維持することが不可欠ですが、人間の意志や感情は揺らぎやすいものです。
仕事よりもモチベーション維持に多くのエネルギーを割くのは本末転倒です。
モチベーション頼みで「頑張る」のではなく、「自然に頑張れる環境」をつくる努力をした方が効率的です。
苦手な作業をツールで省力化したり、協力者を集めたり、仕事がやりやすい環境を整えられるスキルも、ハイパフォーマーの条件と言えます。
在宅勤務で仕事のパフォーマンスを上げるコツ
(1)仕事に集中しやすい環境や条件を整える
在宅勤務は、オフィスワークよりも集中が途切れやすく、仕事へのモチベーションが揺らぎやすいと言われています。
もちろん、個人差はありますが、本来は生活の場である自宅には、仕事以外に興味を引くものがあふれていて、「寛ぐ場所」という認識が刷りこまれています。
在宅勤務で仕事に集中するには、気を散らさないことと、予定外に仕事を中断しないことが大切です。以下の条件を満たせるよう、在宅での仕事環境を整えましょう。
(2)集中力を高めるためのリラックスタイム
人間の脳は長時間の集中には適していない構造だと言われています。
効率よく集中するためには、適度に休憩をとって、リラックスする時間が必要です。
また、座った姿勢のままで居続けることも腰痛や肩こりの原因となり、集中を妨げます。
(3)脳と体を活性化させる生活と運動の習慣
10分間の運動による脳への刺激が、記憶機能の向上につながる可能性があるとした神経学の研究が、ニューヨーク・タイムズ紙に掲載されました。運動と脳の働きの関連性については定説となっていましたが、この研究では軽いゆったりとした運動でも効果が期待でき、これまで考えられていたよりも即効性があることが示唆されています。
運動習慣をとりいれることで脳と体が活性化し、仕事のパフォーマンス向上につながる集中力の高まりや思考力にプラスとなる可能性は高いと言えるでしょう。
参考:ほんの10分の軽い運動でも、脳は活性化する(朝日新聞GLOB+)https://globe.asahi.com/article/12018789
仕事のパフォーマンスを高める運動習慣
生活の中に運動習慣をとりいれることで、質の高い睡眠、代謝アップなどの健康増進、ストレス解消などの効果を期待できます。
一方、在宅勤務による運動不足が生活習慣病のトリガーとなっているという報告もあり、運動不足を放置していると体調不良による生産性低下をまねくリスクがあります。
運動習慣は、病気予防のリスクヘッジと仕事のパフォーマンスを高める効果を期待できると考えられます。
参考:運動が仕事にもたらす驚きの効果とは(Indeed キャリアガイド編集部)https://jp.indeed.com/career-advice/career-development/regular-workout-boosts-your-career
(1)起床から仕事開始前
起床後に、人間は朝の光を浴びると目覚めのスイッチが入ると言われています。
仕事開始前にストレッチや朝ヨガなど、疲れすぎない強度の運動で体を目覚めさせておくと、血流が促進されて脳が活性化します。
できるだけ、きちんと朝食も摂りましょう。
心身が活性化していれば、スムーズに仕事モードに入れるでしょう。
(2)仕事の合間や休憩時間
在宅勤務では立ち歩く機会がなく、座ったままという人も多いのですが、同じ姿勢を続けると体には負担がかかります。
座り続けることが肩こりや腰痛の原因となっています。
極端な例では在宅勤務でエコノミークラス症候群を発症するリスクもあります。
休憩時間にはストレッチやウォーキング、軽い筋トレなどで、姿勢の矯正や凝り固った筋肉をほぐす、血流をうながすよう運動がおすすめです。
忙しくて運動ができない日でも、30分に一回くらいを目安に、立ち上がって部屋の中を歩く程度の運動は心がけましょう。
(3)終業後
仕事終わりの時間帯は、仕事からプライベートへの切り換えのタイミングです。
在宅勤務では仕事の悩みをプライベートタイムに引きずってしまい、高ストレスになってしまう 人もいます。
運動習慣をオンオフ切り換えのルーティンにするのも効果的です。
この時間帯であれば、ハードな運動をしても大丈夫です。運動による適度な疲労は質の高い睡眠につながります。
(4)就寝前
就寝前には、質の高い睡眠のために疲れすぎず、リラックスするための運動がおすすめです。
筋トレなどの負荷の高い運動は、就寝時間の直前は避けた方がよいでしょう。
気持ちよいと感じられる程度のストレッチや夜ヨガがおすすめです。
運動習慣による脳の活性化が仕事のパフォーマンス向上に効果
適度な運動が脳の活性化につながることは、いくつもの研究で明らかになっています。脳の活性化につながるということは、仕事のパフォーマンス向上にも効果が期待できると考えられます。
もちろん、運動のとりいれ方や仕事内容によって差異はあると思いますので、自分にあった方法を試してみてはいかがでしょうか。たとえば、運動不足になりやすい在宅勤務中に、モチベーションやパフォーマンスの低下を感じたときなどは運動によるリフレッシュ効果が高いので、パフォーマンス向上を感じやすいかもしれません。
また、会社全体で運動習慣をとりいれる健康経営企業が増えています。こうした動きには、健康増進だけでなく、業務時間中のリフレッシュや人間関係の活性化も期待されているようです。リモートワーク導入企業や他拠点展開している大企業では、オンラインを活用して、より多くの社員が参加しやすいよう配慮しています。
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