毎日がワークするオンライン・ウェルネスへようこそ。

HOME> コラム > ウェルネスとは?ウェルネスビジネスの最新動向を解説

ウェルネスとは?ウェルネスビジネスの最新動向を解説

ウェルネス

 最近、ウェルネスという言葉を目にする機会が増えていると思いませんか?
メディカル、ヘルスケアなどのサービスや商品、そしてそれらを扱う企業のほかに、経営方針にウェルネスの概念を取り入れる企業も増えています。今さら人には聞けないウェルネスの概念、ウェルネスビジネスの事例紹介、市場の最新動向などを解説します。

この記事を読んで欲しい人
・ウェルネスビジネスに関心があるベンチャー、スタートアップの経営者
・健康経営、ウェルビーイング経営の導入を検討しているベンチャー、スタートアップの経営者

ウェルネスとは?ヘルスケアとの違いは?

(1)ウェルネスとは

ウェルネス(Wellness)は、英語の「良い」「元気」などを意味するwellから派生した言葉です。健康を意味するhealthyと似ていますが、心身に病気がない状態をさすhealthyに対して、ウェルネスには心身の健康に加えて、社会的な意味でも健全であることが含まれます。つまり、心身の健康を基盤として、健全かつ充実した社会とのつながりをもった状態がウェルネスということです。

 

(2)メディカル、ヘルスケアとの違い

メディカルは医療関係、ヘルスケアは健康維持・促進のアクションをさします。つまり、メディカル、ヘルスケアのゴールが、心身の健康であるウェルネスということになります。そのため、ヘルスケア関連企業がコピーなどに「ウェルネス」を使用するケースが増えています。単なる健康維持に留まらない、健康を基盤とした充実した生活や生き方という想いがこめられていると考えられます。

 

(3)ウェルビーイングとの違い

ウェルビーイング(英:Well-being)は、1946年に発効したWHO憲章で「健康」の定義で示された概念です。

 Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.

健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが 満たされた状態にあることをいいます。

引用:世界保健機関(WHO)憲章とは(公益社団法人 日本WHO協会)https://japan-who.or.jp/about/who-what/charter/

 日本WHO協会では、well-beingを「肉体的、精神的、社会的に満たされた状態」と訳しています。そこから、幸福というニュアンスで使用されています。英語のHappinessが瞬間的な幸福をさすのに対し、ウェルビーイングの“being”が示す通り、持続的な幸せを意味します。

参考:ウェルネスとは(琉球大学ウェルネス研究分野)https://health-tourism.skr.u-ryukyu.ac.jp/wellness

急拡大するウェルネス市場、2020年には484兆円に!

ウェルネスビジネスの市場は、2013年から2017年にかけて、世界経済全体の5倍近い成長率にあたる前年比5.8%の成長を続けてきました。2019年には6.6%増(約539兆円)とさらに大きく伸びましたが、2020年のコロナ感染拡大の影響で11.0%(約484兆円)ほど減退しました。しかし、長期的には健康への関心の高まりは追い風となり、さらなる成長が予測されています。

ウェルネスビジネスは、ウェルネスな活動をライフスタイルに取り入れるためのサービスや商品を提供する産業の総称です。非営利組織のシンクタンクであるグローバルウェルネスインスティテュート(国際ウェルネス機構、以下GWI)は11の分野に分類し、ウェルネスビジネスの市場動向の調査結果を発表しています。

 もっとも規模が大きいのはパーソナルケア・美容・アンチエイジング産業、そして健康的食事・栄養・ダイエット産業、フィットネス産業が続きます。この3分野でウェルネスビジネス市場の6割近くを占めています。今後は、ウェルネスツーリズム、メンタルウェルネス、ウェルネス不動産の成長が予測されています。

<ウェルネス産業の市場規模(世界)2020年>

パーソナルケア・美容・アンチエイジング産業 9,552億ドル(約105兆円)
健康的食事・栄養・ダイエット産業  9,455億ドル(約104兆円)
フィットネス産業 7,381億ドル(約81兆円)
ウェルネスツーリズム産業 4,357億ドル(約48兆円)
補完代替医療産業 4,127億ドル(約45兆円)
公衆衛生・予防・パーソナライズ医療 3,754億ドル(約41兆円)
ウェルネス不動産産業 2,751億ドル(約30兆円)
メンタルウェルネス産業 1,312億ドル(約14兆円)
スパ産業 680億ドル(約7.5兆円)
職場のウェルネス産業 485億ドル(約5.3兆円)
温泉・鉱泉産業 391億ドル(約4.3兆円)

()内は1ドル110円換算

 出典:ウェルネス経済~ウェルネス産業市場規模の最新を紹介~(琉球大学ウェルネス研究分野)
https://health-tourism.skr.u-ryukyu.ac.jp/project/3987.html

 

ウェルネスのイノベーション事例

 ウェルネスの概念を取り入れたイノベーションの事例を紹介します。いずれも経営資源やノウハウ、最先端の技術などを活用して、顧客や消費者、従業員などのウェルネスを実現することをめざします。

(1)健康経営(ウェルネス経営)

日本でも、従業員の健康を優先課題とする健康経営が注目されています。健康経営によって、生産性向上や組織の活性化、優秀な人材の確保をめざし、ブランディングを行う企業が増えています。ワークスタイルの変革から新たなサービス需要が生まれています。また、健康経営導入のコンサルティングや従業員の健康管理・促進など、健康経営を支援するサービスも増えています。

>健康経営に関する関連記事

「健康経営」とは?取り組む目的と事例を徹底解説https://brst.work/column/health-management-1/

【健康経営 事例紹介】成功企業から学ぶ健康経営の取り組みと具体策https://brst.work/column/wellness-management-3/

 

(2)ウェルネスツーリズム

心身の健康を見つめ直し、リフレッシュすることを目的とした旅行をさします。ヨガ、スパ、瞑想などのアクティビティ、自然や人との交流などの特別な体験を通して、感動や自己発見を得ることをめざします。日本の湯治場や欧米のスパは、ウェルネスツーリズムの原点とも言える旅行の形態ですが、温泉やスパに行けばウェルネスツーリズムとも言いきれません。時代や利用者の価値観に寄り添った形が求められます。

 

(3)ウェルネス不動産

ウェルネス不動産とは、科学的根拠に基づいて、健康維持や快適さのために最適化された物件をさします。住宅設備や家電を一元管理するスマートハウスやインテリジェンスオフィスに用いられているIoTなどの技術を、快適さの最適化にフォーカスして活用します。AIによる空調や照明の管理、人間工学や心理学に基づいたインテリアや家具のデザイン、アロマテラピーや感染症対策などにも配慮されます。

 

最新のウェルネスビジネス「パーソナライズドサービス」

ウェルネスビジネス市場で注目を集めているのが、パーソナライズドサービスです。パーソナライズドサービスとは、顧客ひとりひとりの条件やニーズにあわせたサービスです。ウェアラブル端末によるパーソナルデータの収集、AIを活用したデータ解析などをとりいれ、さまざまな分野でパーソナライズドサービスへの取り組みが始まっています。

(1)パーソナルズドメディスン

病気に関連する遺伝子検査、生活歴などの個別診断を行い、個人の体質や環境要因、病気のタイプに合わせた治療を行う医療です。日本語では個別化医療と訳され、オーダーメイド医療、テーラーメイド医療などとも言われます。予防医療にも用いられ、パーソナルズドヘルスケアは同義です。

 参考:パーソナライズド・メディシン(個別化医療)とは(一般社団法人国際個別化医療学会)
http://www.is-pm.org/profile/personalized-medicine.html

 

(2)パーソナライズドフード

パーソナライズドフードとは、個人の健康状態、体質、嗜好などに合わせた食べ物をさします。個人にマッチする食事やミールキットなどを提供するフードビジネスが広がり始めています。

(3)パーソナライズドフィットネス

フィットネスは、早くからパーソナライズサービスをとりいれた分野と言えます。フィットネスの目的や、身体的な条件、ライフスタイルにあわせて、専任のトレーナーがトレーニングのメニューを組み、食事や生活習慣の指導も行います。

参考:食と健康のパーソナライズドサービス立ち上げ支援を開始(NTTデータ)https://www.nttdata.com/jp/ja/news/services_info/2021/111900/

 

親和性が高いSDGsとウェルネス

 SDGsは世界的な社会課題であり、もはやビジネスにおけるデファクトスタンダードと言っても過言ではないでしょう。SDGsの概念とウェルネスの概念は共通点が多く、非常に親和性が高いと言えます。

 両者とも単発的な成果をめざすのではなく、継続的に成果を出し続ける前提で、社会やビジネスの構造、さらには価値観を改革することが求められます。それが「持続性」です。SDGsはゴールに至るプロセスで、ステークホルダーや社会全体へのメリット・デメリットへの配慮が重視されます。これは、ウェルネスにおける社会とのつながりに相当すると考えられます。

 SDGsやウェルネスの実現をめざすイノベーションによって、利益追求を優先して人間性を尊重しないアクションが排除される結果となりやすい点も共通しています。

SDGsの意識が高い層はウェルネスにも関心が高い傾向があり、両者の概念を尊重した経営理念やアクションは、社会的な評価にもつながります。



個人の健康意識が、人間社会の持続可能性につながる

社会を構成する私たちの間にウェルネスの意識が広く根づいていけば、ウェルビーイングな社会の形成につながります。社会全体がウェルビーイングであること、つまり社会全体の持続可能性と言ってよいでしょう。そして、会社組織でも同じことが言えます。経営者から従業員の一人一人まで、ウェルネスを意識しながら働けるようになれば、働きやすく、生産性の高い組織づくりにつながります。

ウェルネスな生活と働き方を支えるのは、健康な心と体です。心身が健康であれば、仕事に対してもポジティブかつチャレンジングな姿勢で向き合いやすくなります。

そして、健康は食生活と生活習慣で作られます。健康づくりには適度な運動習慣が効果的です。思いついたときに頑張るのではなく、短い時間でも習慣として続けていくことが大切です。努力して長く続けるのではなく、楽しいから続けられるコンテンツに出会えるといいですね。

 

BRST COLUMN編集チーム Misa
ITベンチャーで企画、人材開発、広報などを経て独立。現在はコンサルタント、ときどきライター。ライターとしては、ビジネス系を中心にアニメ・マンガ、車から美容・健康まで対応!コロナ禍での運動不足から、ウェルネス習慣、おうちフィットネスへの関心が爆上がり中。