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【5分でわかる】健康経営に使える助成金・補助金を課題ごとに解説

健康経営

健康経営のための働き方の改善は収益性低下の懸念を生み、従業員の健康促進と業績を両立させるための投資は中小企業にとっては負担です。
これらを助成金、補助金の活用で解決できるかもしれません。
健康経営の取り組みにも活用できる助成金、補助金について解説します。

この記事を読んで欲しい人
・健康経営の初期コストが大きくなって困っている経営者、健康経営推進の担当者
・組織活性化、ブランディングに健康経営を取り入れたいと考えているベンチャー、スタートアップの経営層、経営企画、HR担当者

健康経営でも使える!助成金・補助金活用のポイント

働き方改革の重点課題として過労死や労災の防止があり、長時間労働の抑止や柔軟な働き方によるワークライフバランスなど、労働者の健康に配慮した施策が盛り込まれています。働き方改革と健康経営は共通する部分が多く、健康経営の取り組みで働き方改革関連の助成金を受給できます。よくわからないという方のために助成金、補助金の概要から解説していきます。

助成金と補助金の違いをまとめました。ここでは公的なものに絞っていますが、民間の助成金もあります。助成金は要件を満たしていれば概ね受給できますが、補助金は申請事業者の中から審査によって選ばれます。助成金の方が受給しやすいと言えますが、補助金と比較すると受給額は小さい傾向があります。

 助成金、補助金を申請する際、財務諸表、給与や勤務の実態、事業計画などを提出します。交付後の報告義務と審査があり、会計検査院の検査対象になる場合もあります。また、申請内容に虚偽があれば不正受給となり、悪質な場合は詐欺罪として刑事罰が下されます。

 

  助成金 補助金
制度の目的 労働環境の改善や人材育成、研究開発を支援 国や自治体の政策を推進するため
政策目的に沿った事業者の取り組みを支援
主 管 雇用関係:厚生労働省
研究開発:経済産業省
経済産業省、地方自治体など
財 源 雇用保険 税金
受給基準 受給要件を満たせばOK 申請事業者の中から審査して採択
主な除外要件

 

・雇用保険に加入していない
・雇用保険料を滞納している
・1年以内に会社都合で解雇した
・1年以内に労働法令違反があった
・1年以内に不正受給があった
・性風俗関連営業の事業者、接待を伴う飲食等営業の事業者
・反社会勢力および関係する会社 ほか
・資本金、売上額が基準を超えている
・税金を滞納している
・1年以内に労働法令違反があった
・経産省の指定停止措置を受けている
・宗教法人、性風俗関連営業の事業者、接待を伴う飲食等営業の事業者
・反社会勢力および関係する会社  ほか

 

助成金・補助金が活用されない意外な理由、悪質な申請支援詐欺も!

助成金、補助金の活用にメリットがあることはご理解いただけたでしょうか。
 活用に積極的でない会社も多く、経済産業省所管のものづくり補助金は採択事業者の15%がリピーターです。また、ある調査では助成金や補助金を利用したことがない企業は41%という結果が出ています。助成金、補助金を利用する会社と利用しない会社の間には温度差があるようです。

利用したことがない会社は、制度がわかりづらい、手続きが面倒、制度を知らなかったなどの理由を挙げており、検討すらしていない場合が多いようです。申請したことがある方はわかると思いますが、慣れない人にとっては資料を読み通すだけでも大変で、受給の条件を満たしているかどうかも一目ではわかりません。情報や知識の不足によって制度の恩恵を受けられない会社ができています。

  こうしたわかりづらさをついて、詐欺まがいの営業活動をする業者も横行しています。申請を委託する場合でも丸投げするのではなく、募集要領などに必ず目を通し、制度や手続きについて理解する必要があります。

出典:経産省の補助金、「リピーター」が3年で15% 財務省が問題視(朝日新聞デジタル)
https://www.asahi.com/articles/ASPC1653FPC1ULFA00P.html

出典:4割の企業が助成金や補助金の利用経験なし。調査回答から見えたその理由とは?(経営PRO-Q/ProFuture株式会社)
https://keiei.pro-q.jp/articles/588

 

長時間労働をなくす取り組みに使える助成金・補助金

(1)働き方改革推進支援助成金

 働き方改革推進支援助成金は働き方改革の推進にあたり、事業規模による労働環境の格差是正をめざす制度で、中小企業を対象に環境整備に投じた費用の一部が助成されます。各コースの成果目標のいずれかを実施することが支給の要件です。3%以上の賃金引き上げを目標として追加でき、引き上げ率に応じて賃金の一部も助成対象となります。

申請期限 2022年11月30日
申請方法 各都道府県労働局雇用環境・均等部(室)の窓口もしくは郵送
対象となる取り組み ・労務管理担当者に対する研修
・労働者に対する研修、周知・啓発(業務研修も含む)
・外部専門家によるコンサルティング
・就業規則および労使協定等の作成、変更
・人材確保に向けた取り組み
・労務管理用ソフトウェアの導入・更新
・労務管理用機器の導入・更新(パソコン、タブレット、スマートフォンは対象外)
・デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
・労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新

 

・労働時間短縮・年休促進支援コース
 時間外労働の削減、有給休暇・特別休暇取得の促進のために、36協定や社内規程の整備を実施した事業者に対して、対象経費の一部が助成されます。

出典:働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000120692.html

・勤務間インターバル導入コース
 勤務終了後から次の勤務までに一定時間以上の休息時間を設け、労働者の健康保持や過重労働の防止を図る制度です。新規導入、適用対象の拡大、休息時間の延長など、勤務間インターバルに関する規定を労働協約もしくは就業規則で定めることが支給の要件です。

出典:働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000150891.html

 ・労働時間適正管理推進コース
  労働時間および労務管理の適正化を推進する制度で、勤怠管理等の環境整備への取り組みに要する経費の一部が助成されます。勤怠・労務管理と給与計算のデジタル化、労務管理書類の5年間保存を規定する、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に関する社内研修が対象となります。

出典:働き方改革推進支援助成金(労働時間適正管理推進コース)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000150891_00001.html

 ・団体推進コース
 法律で規定する団体等に該当する事業主団体(3事業主以上)もしくは共同事業主(10事業主以上)向けの制度で、他のコースとは対象となる取り組みが異なります。団体が時間外労働の削減もしくは賃金引上げに向けた改善事業に取り組み、構成する事業主の2分の1以上がそれを活用することが支給の要件です。

対象となる取り組み ・市場調査
・新ビジネスモデル開発、実験
・材料費、水光熱費、在庫等の費用の低減実験(労働費用を除く)
・下請取引の適正化、労働時間等の設定の改善に向けた理解促進、調整など
・販路の拡大等の実現を図るための展示会開催及び出展
・好事例の収集、普及啓発
・セミナーの開催など
・巡回指導、相談窓口設置など
・共同利用する効率化、生産性向上に資する設備・機器の導入・更新
・人材確保の取り組み

出典:働き方改革推進支援助成金(団体推進コース)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000200273.html

 

(2)業務改善助成金

申請期限 2023年1月31日
申請方法 各都道府県労働局雇用環境・均等部(室)の窓口もしくは郵送

 業務改善助成金は事業場内最低賃金の引上げを図る制度であり、 賃金引上げを行った事業者が、生産性向上のための設備投資を行う費用の一部が助成対象となります。単なる経費削減や職場環境の改善を目的とする取り組みは対象外です。健康経営の推進で残業が減り、従業員が収入の減少を懸念する場合もあります。目的はどうあれ、生産性向上は時間外労働の削減につながり、健康経営の取り組みとも重なりますので、両者を結びつけて検討することで双方の効果を期待できます。

 出典:業務改善助成金についてhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html

 

(3)IT導入補助金
 中小企業のIT導入を支援するIT導入補助金は、登録されたITツールを導入した事業者に導入費用の一部を補助する事業です。2022年は通常枠に加えて、インボイス制度対応を促進するデジタル化基盤導入枠が設けられています。健康経営の取り組みで業務のデジタル化を検討する場合は、IT導入補助金の活用も視野に入れてはいかがでしょうか。 

出典:IT導入補助金
https://www.it-hojo.jp/

ダイバーシティ推進、働きやすい職場づくりに使える助成金

(1)産業保健関係助成金

 労働者の健康管理、産業保健活動を支援する事業として、健康診断、ストレスチェック実施などを助成する制度です。残念ながら、5月17日時点で「令和4年度の実施可否を検討中」と公表されており、実施未定です。令和4年度の制度紹介や申請の手引きが開示されていますので、参考までにご覧ください。

 出典:産業保健関係助成金(労働者健康安全機構)https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/1251/Default.aspx

 

<参考:令和3年度に実施された助成金制度>

治療と仕事の両立支援助成金
https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/2066/Default.aspx

小規模事業場産業医活動助成金(直接健康相談環境整備コース)https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/2062/Default.aspx

小規模事業場産業医活動助成金(産業医コース)https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/2058/Default.aspx

小規模事業場産業医活動助成金(保健師コース)https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/2060/Default.aspx

 副業・兼業労働者の健康診断助成金https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/2068/Default.aspx

事業場における労働者の健康保持増進計画助成金https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/2070/Default.aspx

 

(2)受動喫煙防止対策助成金

 一定の要件を満たす専用喫煙室、指定たばこ専用喫煙室を設置するために必要な経費の一部が助成されます。工事の実施前に申請し、交付決定後の契約、着工が前提になります。

出典:受動喫煙防止対策助成金https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000049868.html

 

メンタルヘルスケアに使える助成金

前述の産業保健関係助成金にメンタルヘルスケアで活用できる助成金があります。実施未定のため、考までに制度紹介や申請の手引きをご覧ください。

 <参考:令和3年度に実施された助成金制度>

「ストレスチェック」実施促進のための助成金https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/2050/Default.aspx

職場環境改善計画助成金(事業場コース)https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/2054/Default.aspx

心の健康づくり計画助成金
https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/2052/Default.aspx

使わないともったいない助成金・補助金、ローコストで健康経営を!

中小企業の働き方改革や生産性向上の取り組みに対する助成金や補助金が増えています。健康経営と働き方改革はリンクする部分が多く、労働時間の削減、労働環境の改善、生産性向上への取り組みを対象とする助成金や補助金は活用できる可能性が高いです。それにも関わらず、「もらうのが大変そう」「難しそう」という印象から敬遠してしまう会社も多いようです。

健康経営の初期コストは、ベンチャー、スタートアップなどの中小企業にとっては決して小さくない負担です。条件を満たしていれば受給できる助成金もありますので、活用しないのはもったいないと思いませんか。まずは該当する助成金・補助金がないか探してみませんか。

助成金・補助金をもらうことが目的になってしまうと、健康経営の目的とミスマッチが起きる可能性があります。健康経営のために何が必要かをしっかり考えてから、該当する助成金・補助金を探すようにしましょう。

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BRST COLUMN編集チーム Misa
ITベンチャーで企画、人材開発、広報などを経て独立。現在はコンサルタント、ときどきライター。ライターとしては、ビジネス系を中心にアニメ・マンガ、車から美容・健康まで対応!コロナ禍での運動不足から、ウェルネス習慣、おうちフィットネスへの関心が爆上がり中。