毎日がワークするオンライン・ウェルネスへようこそ。

HOME> コラム > リモートワーク中の体調不良よくある原因と解消法、自己判断のリスク

リモートワーク中の体調不良よくある原因と解消法、自己判断のリスク

リモートワーク
リモートワーク中に何となく体が重い、気分がスッキリしないなどの体調不良を感じることはありませんか。
もしかしたら、リモートワークの生活習慣が関係しているかもしれません。
生活習慣の見直しで、体調不良を解消できる可能性がありますが、間違った自己判断で病気の兆候を見逃してしまうリスクもあります。
リモートワーク中に起こりがちな体調不良の原因と解消法などを紹介します。

リモートワークで起こりがちな心身の不調とその原因

絆創膏、軟膏・硬膏類などの医療・衛生用品を販売するニチバン(本社:東京都文京区)は、2021年7月に発表したコロナ禍の健康状況の調査結果で6割の人に体調不良が増え、その慢性化を感じていると報告しています。さらに、リモートワーク経験者はその傾向がより顕著で、不調の理由について4割の人が在宅勤務・在宅生活を挙げています。

 

リモートワークによる生活の変化で、特に体調や健康への影響が大きいのは、身体活動量の低下と座位時間が長くなっている点です。要するに立ったり、歩いたりする時間が減り、座っている時間(座位時間)が増えたということです。海外の複数研究により、座位時間が長くかつ身体活動量が低下するのと比例して死亡リスクは高まり、同じ身体活動量でも座位時間が長い方が高リスクという結論が出ています。20代、30代の若い世代にもよくない影響はあります。

 

 リモートワーク生活で多くの人が感じている症状別に、よくある原因をまとめました。あくまでも想定しうる原因であり、それ以外の原因や病気の兆候である可能性があります。くれぐれも参考例としてご覧ください。

 

(1)頭痛、肩こり、腰痛、背中などの体の痛み、目の疲れ

<想定される原因:リモートワークに適さない環境、運動不足など>

 家庭用の家具や照明は長時間パソコンを使用するのに適していないものも多く、無理な姿勢で仕事を続けていると、肩、腰、背中などの体の痛みが出やすくなります。また、ずっと同じ姿勢でいることも筋肉のこりの原因になります。照明の光度不足や小型のノートパソコンの使用で眼に負担がかかり、眼精疲労を起こしやすくなります。眼精疲労が悪化すると肩や首のこり、頭痛やめまい、吐き気などが起きることがあります。

 

(2)倦怠感

<想定される原因:生活リズムの乱れ、睡眠不足、運動不足、ストレスなど>

 倦怠感は、さまざまな病気の初期症状としてあげられています。病気である可能性を除外すると、倦怠感の原因は肉体的・精神的疲労や睡眠不足、栄養不足が考えられます。運動不足が続くと代謝機能が低下し、肉体的疲労が抜けにくくなります。休日明けに倦怠感などの体調不良を感じるブルーマンデー症候群は、平日と違う過ごし方をして睡眠や生活のリズムが崩れることが原因のひとつと言われています。

 

(3)睡眠障害

<想定される原因:生活リズムの乱れ、運動不足、ストレス>

 睡眠障害は、睡眠に何らかの問題がある状態をさします。寝つきが悪かったり、眠りが浅かったりして充分な睡眠がとれない、睡眠のサイクルがずれるなどの症状があります。病気や薬の服用などに起因する場合もありますが、生活習慣や運動不足、ストレスが発端となる場合もあります。症状が慢性化すると医師の治療が必要になります。

 

(4)生活習慣病(高血圧、高脂血症、糖尿病など)

<想定される原因:運動不足による肥満、過食、過度の飲酒など>

 コロナの影響で生活習慣病などが増加する健康二次被害が問題視されています。リモートワークや外出自粛生活による運動不足で内臓脂肪型の肥満になり、高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病をひきおこします。運動不足で太りやすい状態になったうえに、間食や食事の量、酒量が増えることが肥満の要因になっています。

 

(5)気分の落ちこみ、不安、情緒不安定

<想定される原因:ストレス、疲労の蓄積>

  リモートワークや巣ごもりで人とのコミュニケーションが不足すると、孤立感やストレス、将来への不安などを感じやすくなります。また、リモートワークに慣れなくて心身の疲労が蓄積することもあります。うまくストレスを解消できないと、気分の落ちこみがひどくなったり、情緒不安定になったりします。ストレスの蓄積はうつや適応障害へと進行するリスクがあり、要注意です。

 

リモートワーク中の心身の不調を解消する方法

リモートワーク中の体調不良は、生活習慣を改善すれば解消できるものもあります。心身の不調を解消する方法を紹介します。

 

(1)リモートワークのための環境を整える

 リモートワークの作業環境を整えます。厚生労働省は「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」で、パソコンを使用する際の注意点をまとめています。その一部を記載します。業務で使用するものですから、会社に負担してもらえる可能性があります。家具のレンタルやサブスクリプションは、低予算から利用できます。

 

<パソコンを使用する作業に適した環境>一部抜粋

・デスクに必要なものを配置でき、マウス操作に支障のないサイズ

・肘を90度にしてキーボードに自然に手が届くよう調節する

・ディスプレイと目の距離は40cm以上

・座ったときに足が窮屈にならない空間がある

・ディスプレイに太陽光が入らないようにする

・明るさを垂直面500ルクス以下、キーボード上300ルクス以上にする

 

 

(2)仕事量や時間を適切に管理する

 一人の作業で仕事のキリがつけづらくなり、オーバーワークになってしまう人がいます。リモートワークでは、仕事量や時間を管理するセルフマネジメントが大切です。月間、週間の作業計画をたて、一日ごとにタスクを管理しましょう。タスクごとにおおまかな作業時間を設定し、タスクの合間に休憩を設定しておくとさらによいです。

 

(3)快適に暮らせる生活のリズムを見つける

 平日は仕事時間を中心に一日の生活リズムを組み立てましょう。リズムが崩れないよう、休日も起床・就寝時間は変えない方がよいです。仕事のオンオフを切り換えが苦手な人は、仕事始めと終わりのルーティンをつくると効果的です。オフィスワークをしていた時は、出勤時間から逆算して起床から身支度など、朝のルーティンがある程度できていたはずです。その頃を思い出しながら、快適に暮らせるリズムを探しましょう。些細なことですが、こういった意識の持ち方がウェルビーイングにつながります。

 

(4)運動習慣をつけて減少した運動量を補う

 通勤などの運動量が減少した分、意識的に体を動かす必要があります。おすすめは運動習慣をつけること。筋トレやエクササイズ、ダンス、ヨガなど楽しめるものを選ぶと続けやすく、ストレスも解消できます。運動初心者は、仕事の前後や休憩時間にストレッチや軽いエクササイズから始めてみてはいかがでしょうか。リフレッシュ効果で、仕事の生産性向上も期待できます。何より、運動後の爽快感や達成感は慣れるとハマりますよ!

 

(5)食生活は栄養バランスと適度な量を意識する

 外出できず、楽しみが少ない自粛生活で、宅飲みの酒量や食事量、間食が増えたという人がいます。運動不足による筋肉量や代謝の低下に摂取カロリーの増加が加われば、確実に太ります。リモートワーク開始後、食べる量や飲酒量が増えた自覚がある人は食生活を見直しましょう。

 

やってはいけない!体調不良時の自己判断

頭痛や体の痛みなどのちょっとした体の不調が、深刻な病気の初期症状である場合もあります。仕事環境や生活習慣を見直しても状況が変わらない、もしくは悪化している場合は医療機関で相談しましょう。

特に健康診断などでリスクを指摘されている人は、気になる症状があれば速やかに対応したほうがよいです。

 

 軽めの症状の場合は痛みや不快感に慣れてしまい、症状の悪化に気づきづらいことがあります。その症状が始まった時期や症状の変化を意識しておくとよいです。



「体調不良だから今日はリモートワーク」は労働法ではNG

業務の状況や従業員の希望により、オフィスワークとリモートワークを選択できる会社もあります。こういった制度では申告して承認を得る流れが一般的です。会社の方針によりますが、たとえば、家庭の事情や悪天候を理由とする場合は、業務に支障がなければ許可される可能性が高いです。

 

 しかし、自分自身の体調不良を理由としたリモートワークは、原則としては認められません。会社として従業員の体調が悪いことを知りながら働かせるのは、労働法違反になる可能性があります。労働契約法5条の安全配慮義務にもとづく雇用者の義務であり、従業員の過労死事件ではしばしば争点になっています。必要に応じて、業務に支障をきたさないよう対処する責任も会社側にあります。但し、花粉症やケガなどのように業務を行っても悪化する可能性がなく、通勤によって悪化する場合などの例外はあります。

 

リモートワークの曖昧さが体調不良の原因

2020年4月、初めての緊急事態宣言を受けて、多くの企業が準備不足の状態でリモートワークをスタートしました。リモートワークを導入している国内企業は少なく、リモートワークに慣れている会社員もいませんでした。

 

 現在も、リモートワークで働く従業員の健康管理やサポートを、多くの企業が手探りで進めています。従業員も会社のアクションを待つだけでなく、自分なりに健康を維持する努力が必要です。

 

 リモートワーク中の従業員サポートのノウハウがなく、困っている会社も多いのです。実際にリモートワークをして気づいたことや、リモートワーク環境の整備や運動習慣に関するサポートなどを、自分からリクエストしてみるのもよいと思います。

BRST COLUMN編集チーム Misa
ITベンチャーで企画、人材開発、広報などを経て独立。現在はコンサルタント、ときどきライター。ライターとしては、ビジネス系を中心にアニメ・マンガ、車から美容・健康まで対応!コロナ禍での運動不足から、ウェルネス習慣、おうちフィットネスへの関心が爆上がり中。