リモートワークが続き、肩こりや腰痛を感じるようになったり、何となくだるい、体が重いと感じたりすることが増えていませんか?
それ、運動不足が原因かもしれません。
通勤や外出が少なくなった分、運動量が減り、体調を崩す人が多いようです。厚生労働省は、運動不足によって生活習慣病の進行が加速する、健康二次被害への注意を呼びかけています。
リモートワークのスキマ時間などに、自宅で気軽に始められるストレッチについて解説します。
運動初心者も気軽に始められるストレッチとは
(1)どう違う?ストレッチとストレッチング
ストレッチとストレッチングは英語のStretchingからきた呼称で、筋肉や腱を伸ばす、広げる、伸張するといった目的で行う運動や手技をさします。一般にはストレッチという呼称が定着していますが、文献などではストレッチングという表記が使われる傾向があります。広義では、ヨガやピラティスもストレッチングのカテゴリに含まれます。
(2)ストレッチにはどんな効果がある?
筋や関節を伸ばすストレッチは、体の柔軟性を高める効果があります。運動のパフォーマンス向上やケガ予防のため、ウォームアップやクールダウンにストレッチが取り入れられています。正しい姿勢の維持やリラクゼーションの目的で行うストレッチもあります。年齢や性別に関係なく、正しいやり方で続ければ、少しずつでも身体機能が向上していきます。
(3)ストレッチの長所は始めやすさ
ストレッチは、他のスポーツのように広いスペースや道具を必要としません。仕事の合間に椅子に掛けたまま行えるストレッチから、コーチやインストラクターの指導を受けながら行う本格的なストレッチもありますが、いずれも自分の体一つで始められる手軽さがあり、体の状況にあわせて続けられます。
(4)ストレッチはやり方が悪いと効果がない
ストレッチの適度な負荷によって筋の伸張反射が低下し、筋温や体温の上昇によって柔軟性が高まり、関節の可動範囲が広がる効果があります。また、ストレッチによるリラックス効果も注目されています。
その一方で、自己流のやり方では効果が出ないこともあります。
どんな方法でも体を動かせば筋温や体温は上がりますが、負荷をかける部位が間違っていると、伸張反射の低下の効果は低くなります。間違った方法や過度の負荷がケガにつながる場合もあります。
参考;ストレッチングの効果(厚生労働省 e-ヘルスネット)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-04-006.html
ストレッチの5原則
ストレッチは、反動を利用せずにゆっくりと筋を伸ばすスタティックストレッチング(静的ストレッチ)と、反動を利用してリズミカルに筋を伸ばす、ダイナミックストレッチング(動的ストレッチ)に分けられます。
運動のパフォーマンス向上が期待できるダイナミックストレッチングは、ウォームアップに適していると言われていますが、柔軟性向上などの効果については両者の間に優劣はありません。ケガのリスクが少ない、一人で行えると言った点で、仕事の合間に行うストレッチにはセルフスタティックストレッチングが適していると言えます。
ここではストレッチを行うときの5つのポイントをまとめました。
(1)一つのアクションに20秒以上かける
静的ストレッチでは反動をつけず、体の重みに任せるくらい気持ちでゆっくりと筋肉や腱を伸ばしていきます。動き始めの5-10秒ほどで適度な伸展に至るので、それを超える時間をかける必要があります。
(2)ストレッチする箇所を意識する
自分がどの部位を伸ばそうとしているかを意識し、実際にどこが伸びているかを感じながらストレッチすることで、正しい動きができます。
(3)痛みを感じるのはNG、気持ち良いところまで
痛みを感じるまで伸ばすと伸張反射が働き、筋が硬直します。さらに無理をすると筋肉や筋を痛めることもあります。痛いと感じる手前、楽ではないけれど気持ちよいと思えるところまでにします。
(4)呼吸を意識しながら伸ばす
呼吸が止まると体が緊張し、血圧も上昇します。ゆっくりと深い呼吸をすることで、緊張が和らぎ、柔軟性が高まります。
(5)気になる部位にあわせて選ぶ
人間の体にはおよそ260の関節と600の筋肉があります。すべてを一度にストレッチする方法はありません。仕事の合間に行う場合は、コリや痛みを感じる箇所や姿勢の矯正に効果があるストレッチがお奨めです。
参考;ストレッチングの実際(厚生労働省 e-ヘルスネット)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-04-007.html
ストレッチでけがをしないための注意点
運動初心者が一人でストレッチを行うとき、もっとも注意すべきはケガをすることです。ストレッチでケガをしないための注意点をまとめます。
運動による筋肉痛は一般的にケガとは認識されていませんが、医学的には、過度の筋肉の収縮のダメージによる炎症と定義されます。頑張りすぎてしまうと、回復に時間がかかるケガにつながるリスクがあることを忘れず、無理なく、気持ちよいと感じられる範囲で体を動かしましょう。
(1)反動をつけすぎない
ダイナミックストレッチングは反動を利用して体を伸ばすものですが、反動が強すぎると可動域を超えて、筋や腱を痛めてしまうリスクがあります。誰もがやったことがあるアキレス腱伸ばしで、アキレス腱を損傷する場合もあります。ストレッチでは勢いよく反動をつけるのはNGです。特に気温が低い冬場や体が温まっていない状態では注意しましょう。
(2)痛みを感じたらすぐにやめる
ストレッチは年齢に関係なく、正しいやり方で続けていけば徐々に可動範囲が広がっていきます。ストレッチの効果を実感できてくると、もっとできるようになりたいと思うのは当然の心理です。しかし、そこで無理をしてしまうとケガをする可能性があります。決して無理をせず、痛みを感じたらすぐやめるよう心がけましょう。
リモートワーク中の社員をつなぐ、職場ストレッチの例
リモートワークで社内のコミュニケーションの低下が気になっているなら、定例ミーティングなどに職場ストレッチをとりいれてはいかがでしょうか。運動不足の解消やリフレッシュ効果による仕事の効率アップに加えて、一緒に体を動かすことで心理的な距離を縮め、社内の一体感をつくります。
(1)朝の定例ミーティング
リモートワーク導入にあわせて、始業時に定例ミーティングをもつようになった会社は多いです。マンネリ化しやすい定例ミーティングにメリハリをつけ、チームの一体感と一日の仕事を始めるエネルギーを呼び起こします。
(2)ランチタイム
食後のストレッチでリフレッシュして、午後の作業効率アップやコミュニケーション活性
化をめざします。ランチタイムは原則として自由時間ですが、有志参加とするか、就業時間として扱えば全員参加の形にもできます。
(3)仕事の合間にリフレッシュタイム
健康経営を導入した企業などで、全社で体を動かすリフレッシュタイムを設ける事例があります。特に、リモートワークでは長時間座ったままになりやすいので、強制的に体を動かすタイミングをつくることで、従業員の健康維持にアプローチします。
(4)仕事終わりにオンオフを切り換え
朝の始業と違って、仕事が終わるタイミングはまちまちです。しかし、働き方改革の推進で、業種業界や会社規模を問わず、残業削減の取り組みが行われています。残業削減の障害になるのは、不要不急のダラダラ残業です。終業時間にあわせて職場ストレッチの時間を設けることで、定時までに仕事を切り上げる習慣づくりにつなげてはいかがでしょうか。
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誰でも気軽にできるストレッチ、効果にはバラツキも?
ストレッチの特長のひとつに手軽さがあります。椅子に座ったままでもできるので、場所やタイミングを選ばず、運動初心者でも始めやすいのが特長と言えます。その一方で、自己流のやり方では期待するような効果が出なかったり、最悪のケースとしてはケガにつながったりリスクもあります。
腰痛などの痛みがあるときにストレッチは、特に慎重にやらなければなりません。しかし、無理をするとより効果が高まると誤解する人もいます。痛い、苦しいと感じるようなストレッチは要注意です。自己流のストレッチには、少なからずリスクがあります。運動に慣れていない人が初めてストレッチをするときは、最初に専門知識をもつインストラクターの指導を受けるのがベストです。